「10月の年金振込通知を見たら、介護保険料の天引きが増えていた」 「給与明細の介護保険料が、春から少し上がっている」 「ニュースで保険料が過去最高と聞いたけれど、うちの親も上がったの?」

——介護保険料は、65歳以上と40〜64歳で決まり方も、見直しの時期も違います。同じ「介護保険料が上がった」という話でも、どちらの保険料のことか、どの通知の数字かで答えが変わります。

この記事では、厚生労働省の審議会資料、全国健康保険協会(協会けんぽ)、大田区・柏市・世田谷区の案内をもとに、2026年度の介護保険料の動きと、天引き額が変わったときの見分け方を家族向けに整理しました。施設の食費・居住費や、介護サービスを使うときの自己負担(1〜3割)は、この記事で扱う保険料とは別のものです。

この記事でわかること

  • 65歳以上と40〜64歳で、介護保険料の決まり方がどう違うか
  • 2026年度に上がったもの、変わっていないもの
  • 年金からの天引き額が10月に変わる理由
  • 子ども・子育て支援金と介護保険料の違い
  • 通知を見るときに確かめる行

介護保険料は2026年度に上がった?

65歳以上の基準額は、多くの市区町村で2025年度と同じです。40〜64歳の保険料は毎年度見直され、協会けんぽでは料率が上がりました。

介護保険の費用は、半分を保険料、半分を税金(公費)でまかなっています。保険料を納めるのは40歳以上の人で、65歳以上の「第1号被保険者」と、40〜64歳の「第2号被保険者」に分かれます。介護保険のしくみ全体は親の介護が始まったら──はじめての介護保険、申請から費用までやさしく解説で解説しています。

2026年度の動きを表にまとめました。

65歳以上(第1号)40〜64歳(第2号)
金額を決めるところ住んでいる市区町村加入している医療保険(協会けんぽ・健保組合・共済・国民健康保険など)
見直しの時期3年ごと毎年度
2026年度の動き2024〜2026年度は同じ基準額の期間。全国平均は月6,225円1人当たり月額の見込みが6,202円(2025年度)から6,360円(2026年度)に
次の大きな節目2027年4月(第10期の保険料)毎年3月分・4月分ごろ
納め方年金からの天引き、または納付書・口座振替健康保険料と一緒に納める

65歳以上と40〜64歳の介護保険料の決まり方の比較図。65歳以上は住んでいる市区町村が3年ごとに決め、2024〜2026年度は同じ基準額で全国平均は月6,225円、所得段階は前年の所得や世帯の住民税の課税状況で毎年変わりうる、年金が年18万円以上なら天引き、次の見直しは2027年4月。40〜64歳は加入している医療保険が毎年度決め、1人当たり月額の見込みは6,202円から6,360円、協会けんぽの料率は2026年3月分から1.59%から1.62%、会社員は会社と半分ずつ負担。下段に、2026年4月分からの子ども・子育て支援金は医療保険料に上乗せされる別の負担と注記。

厚生労働省が2026年3月の社会保障審議会介護保険部会に出した資料には、65歳以上の保険料(基準額の全国平均)と40〜64歳の保険料(1人当たり月額)の推移が載っています。65歳以上は2024〜2026年度の3年間が月6,225円、40〜64歳は2026年度が6,360円の見込みで、どちらも制度が始まってから最も高い水準です(厚生労働省 第134回社会保障審議会介護保険部会 資料4 令和8年度介護納付金の算定について)。


65歳以上の介護保険料は、どう決まる?

住んでいる市区町村が、3年分の介護サービスの見込みから「基準額」を決め、本人の所得や世帯の住民税の課税状況に応じた段階ごとに金額を割り当てます。

65歳以上の保険料は、市区町村が3年ごとにつくる介護保険事業計画にもとづいて決まります。2024〜2026年度は「第9期」と呼ばれる期間で、この3年間は同じ基準額が使われます。厚生労働省によると、第9期の基準額の全国平均は月6,225円で、第8期(2021〜2023年度)の6,014円から上がりました(厚生労働省 第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について)。金額は市区町村によって違うので、親の保険料は住民票のある市区町村の案内で確かめます。

本人が納める額は、基準額に段階ごとの割合をかけて決まります。段階は、次の2つで決まります。

  • 本人の前年の所得(年金収入を含む)
  • 世帯の住民税の課税状況(同じ世帯の家族に住民税がかかっているか)

大田区は、2026年度の保険料を「2025年1月から12月までの所得等」をもとにした住民税の課税状況で決めたと案内しています(大田区 令和8年度の介護保険料納入通知書を郵送します(65歳以上第1号被保険者))。基準額が3年間同じでも、前年の所得や世帯の状況が変われば、本人の段階は毎年動きます。

同じ世帯の家族の課税状況で段階が変わるしくみは、世帯分離を考える家族がよく確認する点です。影響と注意点は世帯分離で親の介護費用は本当に安くなる?──メリット・デメリットと手続きの注意点で整理しています。

2026年度に限った計算の特例

2025年度の税制改正で、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に引き上げられました。大田区は、この改正で給与所得が下がる人がいるため、2026年度の介護保険料に限り、改正前の給与所得控除額を使って計算する特例を設けたと案内しています。パートやアルバイトの給与収入がある65歳以上の方は、税金の計算と介護保険料の計算で使う所得が違うことがあります。


40〜64歳の介護保険料は、どう決まる?

加入している医療保険が、国に納める介護の費用(介護納付金)をもとに毎年度決めます。会社員は健康保険料と一緒に給与から引かれ、会社と半分ずつ負担します。

40〜64歳の保険料は、協会けんぽ・健康保険組合・共済組合・国民健康保険といった医療保険が集め、「介護納付金」として社会保険診療報酬支払基金にまとめて納めます。必要な額は年度ごとに決まるため、料率も毎年度見直されます(協会けんぽ 協会けんぽの介護保険料率について)。

協会けんぽの介護保険料率は、2025年度の1.59%から、2026年度は1.62%になりました。会社員などの一般の加入者は2026年3月分(4月納付分)から、任意継続の加入者などは4月分からの適用です。会社員の保険料は、本人と会社が半分ずつ負担します(e-Gov法令検索 健康保険法 第161条)。

標準報酬月額30万円の会社員の場合で計算すると、次のようになります。

2025年度(1.59%)2026年度(1.62%)
介護保険料(月額)4,770円4,860円
うち本人負担(半分)2,385円2,430円

本人負担は月45円の増加です。健康保険組合や共済組合は料率をそれぞれ決めているので、勤め先の保険の案内や給与明細で確かめます。国民健康保険の方は、市区町村が保険料(税)の「介護分」を年度ごとに決めています。


年金からの天引き額が10月に変わるのはなぜ?

4月・6月・8月は前の年度と同じ額を仮に引き、10月・12月・2月にその年度の正しい額との差を調整するからです。年度の保険料が前の年度と違うと、10月から天引き額が変わります。

65歳以上で年金を年額18万円以上受け取っている方は、介護保険料が年金から天引きされます(特別徴収)。柏市の案内では、天引きは年6回で、次のように分かれています(柏市 介護保険料の通知と納付方法)。

年金の支給月呼び方引かれる額
4月・6月・8月仮徴収前の年度と同じ額
10月・12月・2月本徴収その年度の年額から仮徴収分を差し引いた残りを3回に分けた額

4月の時点では前年の所得がまだ確定していないため、前の年度と同じ額を仮に引いておき、所得が確定した後の本徴収で調整するしくみです。年度の保険料は6〜7月ごろに届く通知書で知らされます(柏市は毎年6月、大田区は2026年7月10日ごろから郵送と案内)。

たとえば、所得段階が上がって年額が増えた方は、10月からの天引き額が4〜8月より多くなります。段階が下がった方は少なくなります。大田区は、仮徴収と本徴収の差が大きくなりそうな方について、6月・8月の額を調整して年間の額をならす処理をしていると案内しています。同じような調整をしている市区町村もあるので、6月・8月の額が前年度と違っていても慌てずに通知を確かめます。

65歳になった年は、納め方が変わる

65歳になると、健康保険料と一緒に納めていた40〜64歳の介護保険料はかからなくなり、市区町村に納める65歳以上の保険料に切り替わります。柏市は、65歳になった方は天引きの準備が整うまでの半年から1年ほどは納付書などで納め、その後に年金からの天引きに切り替わると案内しています。親が65歳になった年に「納付書が届いた」「しばらくして天引きが始まった」という変化があったときは、納め方が切り替わる途中の可能性があるので、届いた通知の対象期間を確かめます。


子ども・子育て支援金は、介護保険料の値上げ?

いいえ、別の負担です。2026年4月分から、医療保険料とあわせて納める新しい項目として加わりました。

協会けんぽは、40〜64歳の加入者について、健康保険料率と全国一律の介護保険料率(1.62%)に加えて、2026年4月分(5月納付分)から子ども・子育て支援金(0.23%)が加わると案内しています(協会けんぽ 令和8年度の協会けんぽの保険料率は3月分(4月納付分)から改定されます)。国民健康保険でも、世田谷区は2026年4月分から、医療分・後期高齢者支援分・介護分に加えて「子ども・子育て支援金分」を合算して納めると案内しています(世田谷区 令和8年度より国民健康保険料に子ども・子育て支援金分が加算されます)。

65歳以上の方は、介護保険料とは別に、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料も年金から天引きされていることがあります。年金振込通知書や給与明細では、介護保険料と医療保険料(支援金を含む)は別の行に書かれています。「介護保険料」の行が変わったのか、別の行が変わったのかを見ると、何が増えたのかを取り違えずに済みます。


2027年度には何が変わる?

65歳以上の保険料は、2027年4月から第10期の基準額に切り替わります。金額は、市区町村が2026年度中に計画をつくって決めます。

第9期の基準額が使われるのは2026年度(2027年3月)までです。2027年度からの3年間の基準額は、各市区町村がこれからつくる第10期の介護保険事業計画にもとづいて決まります。親の住む市区町村の金額は、2027年春ごろの広報や、6〜7月ごろに届く2027年度の通知書で確かめられます。

国の審議会では、介護サービスを使うときの自己負担(2割負担の対象拡大)など、保険料以外の負担の見直しも議論されてきました。議論の経緯は2027年度の介護保険改正で何が変わる?──2割負担の対象拡大は「先送り」、ケアプラン有料化の議論を家族向けに整理にまとめています。

施設に入っている親の「食費・居住費」が上がった場合は、介護保険料とは別の話です。2026年8月の改定については介護施設の食費・居住費は2026年8月からどう変わった?|負担限度額・対象者・確認手順で確認できます。


通知が届いたら、どこを見ればいい?

決定通知書の「所得段階」と「年額」を前年度の通知と並べ、年金振込通知書や給与明細では「介護保険料」の行だけを比べます。

親の介護保険料が上がったように見えたときは、次の順で確かめると、原因を絞り込みやすくなります。

  1. どの保険料かを確かめる:介護保険料の行か、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の行か
  2. 決定通知書の所得段階を前年度と比べる:段階が変わっていれば、前年の所得か世帯の課税状況が変わった可能性がある
  3. 年額を前年度と比べる:年額が同じなのに10月から天引き額が変わったなら、仮徴収と本徴収の調整による
  4. わからなければ市区町村に聞く:通知書に書かれた介護保険担当の電話番号に、「段階が変わった理由」を尋ねる

親が亡くなったあとの保険料の精算(前月分までの月割り、払い過ぎの還付)は、親が亡くなったら介護保険の手続きは?──保険証の返却・保険料の精算・払い戻しの請求を家族向けに整理で扱っています。


今日からできること

  1. 親の決定通知書を探す:2026年6〜7月ごろに届いた介護保険料の通知書(決定通知書・納入通知書)と、2025年度の通知を並べる
  2. 10月の年金振込通知書を見る:介護保険料の行が4〜8月と比べてどう変わったかを確かめる
  3. 給与明細の介護保険料を見る:40〜64歳の方は、3月分(4月支給の給与)からの額を確かめる

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。保険料の金額・段階・納め方は市区町村や加入している医療保険によって異なります。個別の金額は、通知書に記載の市区町村の介護保険担当や、加入している医療保険の窓口にご確認ください。

参考情報(一次情報)

(確認日:2026年10月9日)

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