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そっとねっとコラム2026.7.21

介護ベッド・車いすはレンタル?購入?福祉用具の選び方と費用をやさしく解説

介護保険の福祉用具は、車いすや介護用ベッドなどはレンタル、腰掛便座や入浴補助用具などは購入が基本です。費用の目安、レンタルと購入を選べる選択制の4品目、2026年10月からの価格改定まで公式情報をもとにやさしく解説します。

介護そっとねっと編集部13分で読める
介護ベッド・車いすはレンタル?購入?福祉用具の選び方と費用をやさしく解説

「介護用ベッドって、買うものだと思っていました」 「車いすをレンタルするって、なんだか他人が使ったものみたいで気が引ける」 「福祉用具のカタログをもらったけど、どれが保険適用なのか分からない」

——介護がはじまったばかりのご家族から、福祉用具についてこうした戸惑いの声をよく聞きます。実は、多くの福祉用具は「買う」のではなく「介護保険でレンタルする」ものです。購入が前提だと数万円〜数十万円かかる介護用ベッドや車いすも、レンタルなら月々数百円〜数千円の自己負担で使い始められます。

この記事では、レンタルと購入の使い分け、費用の目安、申し込みから利用開始までの流れ、そして2026年に予定されている制度の変化まで、公式情報をもとにやさしく整理します。

この記事でわかること

  • どの福祉用具がレンタルで、どれが購入なのか
  • レンタル・購入それぞれの費用の目安と自己負担
  • 福祉用具専門相談員への相談から利用開始までの流れ
  • 2026年10月に予定されている価格改定のポイント
  • 選び方でよくある失敗と回避策

ただし、福祉用具にはひとつ注意点があります。「レンタルなら何でも自由に選べる」わけではなく、要介護度によって借りられる品目に制限があるケースもあります。詳しくは後半の「要支援・要介護度による制限」で説明します。


福祉用具はレンタルと購入、どちらが基本?

多くの福祉用具は介護保険でレンタルでき、購入が必要なのは直接肌に触れる衛生用品だけです。まずレンタルで試すのが基本の考え方です。

介護保険の福祉用具制度は、「レンタル(福祉用具貸与)」と「購入(特定福祉用具販売)」の2つの仕組みに分かれています。厚生労働省の整理では、レンタル対象は次の11種目です。

  • 車いす(付属品を含む)
  • 特殊寝台(介護用ベッド、付属品を含む)
  • 床ずれ防止用具(体圧分散マットレスなど)
  • 体位変換器
  • 手すり(工事を伴わないもの)
  • スロープ(工事を伴わないもの)
  • 歩行器
  • 歩行補助つえ
  • 認知症老人徘徊感知機器
  • 移動用リフト(つり具の部分を除く)
  • 自動排泄処理装置

これらは複数の人が繰り返し使うことを前提に、消毒・整備した状態で貸し出されるため、購入するより費用を抑えつつ、体格や状態の変化に応じて交換しやすいというメリットがあります。「他人が使ったものを使うのは気が引ける」と感じる方もいますが、レンタル事業者は用具ごとに洗浄・消毒・部品交換の基準を設けて管理しており、安全性が損なわれることはありません。

一方、直接肌に触れ、衛生上レンタルになじまない用品は「購入」となります。対象は次のとおりです。

  • 腰掛便座(ポータブルトイレなど)
  • 自動排泄処理装置の交換可能部
  • 排泄予測支援機器
  • 入浴補助用具(シャワーチェア、浴槽用手すりなど)
  • 簡易浴槽
  • 移動用リフトのつり具の部分
  • 固定用スロープ・歩行器・歩行補助つえ(後述する「選択制」の対象品目のみ)

下の図に、レンタルと購入の判断の目安と、それぞれの自己負担のしくみをまとめました。

福祉用具のレンタルと購入の判断フロー。車いすや介護用ベッドなど肌に直接触れないものはレンタル、腰掛便座や入浴補助用具など肌に触れる衛生用品は購入となる仕組みと、それぞれの自己負担割合を示した図


レンタルと購入、費用の目安はいくら?

レンタルは福祉用具の種類や機能によって月額が異なり、自己負担は所得に応じて1〜3割。購入は年間10万円を上限に7〜9割が保険給付されます。

レンタルの費用感

レンタル価格は用具の種類・機能・地域によって幅がありますが、目安として次のような水準です(1割負担の場合の自己負担額)。

用具月額の目安(1割負担)
歩行補助つえ数百円程度
歩行器数百円〜1,500円程度
手すり(工事不要)数百円〜1,000円程度
車いす(標準型)500円〜1,500円程度
特殊寝台(介護用ベッド)+付属品一式1,000円〜3,000円程度
床ずれ防止用具(体圧分散マットレス)500円〜1,500円程度

同じ「介護用ベッド」でも、背上げ機能・高さ調整・マットレスの仕様によって価格帯は変わります。2026年10月からは、新しく登場した商品について「全国平均貸与価格」と「上限価格」が公表される仕組みが始まるため、福祉用具専門相談員から金額の妥当性について説明を受けやすくなります(詳しくは後述)。

購入の費用感

購入対象の福祉用具は、要介護状態区分にかかわらず、1年間(4月から翌年3月まで)で10万円が支給限度基準額です。消費税を含めた10万円までの費用について、自己負担割合(1割・2割・3割)に応じて7〜9割が保険給付されます。1割負担の方なら、実質9万円分まで保険でまかなえる計算です。

支給方法には、いったん全額を立て替えて後から払い戻される「償還払い」と、自己負担分だけを窓口で支払う「受領委任払い」の2通りがあります。市区町村によって対応が異なるため、購入前にケアマネジャーや福祉用具専門相談員に確認しておくと安心です。


選択制って何?レンタルと購入を選べる品目がある

2024年度の制度改定で、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖の4品目だけは、レンタルと購入のどちらかを利用者が選べるようになりました。

もともとこの4品目はレンタルのみの対象でしたが、比較的購入価格が低く、長期間使う見込みがある方にとってはレンタルより購入の方が総額で安くなるケースがあることから、利用者負担の軽減と制度の持続可能性を両立する目的で選択制が導入されました。

選択制のポイントは次のとおりです。

  • 対象は上記4品目のみ。車いすや介護用ベッドなど、他の品目は引き続きレンタルのみ(または購入のみ)
  • 「これから半年〜1年以上使う見込みがある」「体格や状態が大きく変化しにくい」場合は購入を検討する価値がある
  • 迷ったときは、まずレンタルで試してから購入に切り替えることもできる。福祉用具専門相談員に相談しながら決めるのが安心

「とりあえずレンタルで試して、合うようなら購入に切り替える」という順番で考えると失敗しにくいでしょう。


福祉用具を使い始めるまでの流れは?

要介護(要支援)認定を受けたあと、ケアマネジャーに相談してケアプランに組み込み、福祉用具専門相談員と選定・試用を経てレンタルまたは購入に進みます。おおよそ1〜2週間が目安です。

福祉用具を使い始めるまでの一般的な流れは次のとおりです。

  1. 要介護(要支援)認定を受ける:福祉用具貸与・購入は原則として要支援1〜要介護5の認定が必要です。認定を受けていない場合は、まず市区町村の窓口か地域包括支援センターに相談します
  2. ケアマネジャーに相談する:担当のケアマネジャーに、生活で困っていること(立ち上がりがつらい、歩行が不安定など)を伝えます。福祉用具の利用はケアプランに組み込む必要があります
  3. 福祉用具専門相談員と選定・試用する:レンタル事業者に所属する福祉用具専門相談員が、自宅の環境や身体状況に合わせて用具を提案します。実際に試用してから決められることが多く、この試用期間が「レンタルなら試せる」最大のメリットです
  4. 福祉用具サービス計画の説明を受け、契約する:選定した用具の機能・価格・利用目的を記載した計画書の説明を受けたうえで契約します。2026年10月からは、新商品について全国平均貸与価格の説明も受けられるようになります
  5. 納品・調整・利用開始:自宅に用具が届き、使い方の説明や高さなどの微調整を受けて利用開始です

初めての相談から利用開始まで、早ければ1週間、標準的には2週間程度を見込んでおくとよいでしょう。介護用ベッドなど在庫状況によっては、もう少し時間がかかることもあります。


要支援・要介護度による制限はある?

要支援1・2、要介護1の方は、車いすや介護用ベッドなど一部の福祉用具が原則レンタル対象外です。ただし、医師の意見や状態によっては例外的に利用できる「例外給付」の仕組みがあります。

福祉用具貸与は、要介護度が低い方ほど「本来必要とする状態ではない」とみなされ、対象品目が制限される設計になっています。具体的には、要支援1・2、要介護1の方が原則レンタルできないのは、車いす・特殊寝台(介護用ベッド)・床ずれ防止用具・体位変換器・認知症老人徘徊感知機器・移動用リフト・自動排泄処理装置です。手すり・スロープ・歩行器・歩行補助つえは、要介護度にかかわらずレンタルできます。

「今は要介護1だけど、状態が急に悪化して介護用ベッドが必要になった」というケースもあります。その場合は、主治医の医学的所見をもとに市区町村が個別に判断する「例外給付」という仕組みがあり、認められれば対象外の品目でもレンタルできます。まずは担当のケアマネジャーに相談してみてください。


2026年10月からの価格改定で何が変わる?

新しく登場した福祉用具65品目について、厚生労働省が「全国平均貸与価格」と「上限価格」を公表し、2026年10月分のレンタルから適用されます。

福祉用具のレンタル価格は、これまで事業者ごとの裁量に委ねられている部分が大きく、「同じ用具なのに事業者によって価格差が大きい」という課題が指摘されてきました。この課題に対応するため、厚生労働省は種目ごとに「全国平均貸与価格」と「上限価格」を定め、福祉用具専門相談員が利用者に説明することを義務づけています。上限価格を超える価格設定は介護保険給付の対象外となるため、事業者側にも過度な高額設定を避ける仕組みが働きます。

2026年4月には、特殊寝台(介護用ベッド)や移動用リフトなど、直近の実績データにもとづいて価格がはじめて設定される新商品65品目について、2026年10月分から適用される平均価格・上限価格が公表されました。これから福祉用具を選ぶ方にとっては、契約前に「この金額は全国平均に対して高いのか、標準的なのか」を確認しやすくなるという実務的なメリットがあります。契約時に福祉用具専門相談員から価格説明を受けたら、「全国平均と比べてどうですか」と一言尋ねてみるとよいでしょう。


よくある失敗と回避策

福祉用具選びでつまずきやすいポイントを、回避策とセットで整理しました。

よくある失敗回避策
購入してから「合わなかった」と気づいた対象品目はまずレンタルで試す。特に車いす・介護用ベッドは試用が前提
ケアプランに組み込まず自費で購入してしまった福祉用具は必ずケアマネジャーに相談してからケアプランに組み込む
要支援・要介護1で介護用ベッドを断られた状態が悪化した場合は「例外給付」を主治医・ケアマネジャーに相談
年10万円の購入上限を超えて自費になった年度(4月〜翌年3月)をまたいで計画的に購入する。複数品目を同時に買う前に相談
レンタル料金が事業者によって違い戸惑った契約前に全国平均貸与価格を確認し、福祉用具専門相談員に説明を求める

車いすは座面の幅・高さが身体に合っているかが最重要で、合わない車いすは褥瘡(じょくそう)や操作性の問題につながります。介護用ベッドは、「介護者が腰に負担なく介助できる高さ」と「本人が足を床につけて立ち上がれる高さ」が異なるため、両方に調整できるタイプを選ぶのがポイントです。持ち上げる介助で腰を痛めがちな方は、自宅での身体介護、どうすればいい?──家族のための介助とコミュニケーションのコツで、福祉用具を活用した負担の少ない介助のコツも紹介しています。

在宅介護の準備をこれから整えるという方は、在宅介護、何から始めればいい?──不安を減らす準備チェックリストもあわせてご覧ください。住宅改修や福祉用具を含めた全体の準備の流れがわかります。福祉用具の相談窓口としては、介護がつらいと感じたら──介護疲れのサインと、心を守るセルフケアで紹介している地域包括支援センターも活用できます。


まとめ

この記事で持ち帰れること

  • 目の前の福祉用具が「レンタル対象」か「購入対象」かの見分け方と、それぞれの費用の目安
  • 要介護度による制限と、状態が変化したときに使える「例外給付」という選択肢
  • 2026年10月の価格改定で、契約前に確認すべきポイントが増えるという見通し

福祉用具は、「頑張って自分たちだけで介護する」ための道具ではなく、介護する人・される人の両方の体と暮らしを守るための仕組みです。まずは今使っている、あるいはこれから必要になりそうな福祉用具を1つ思い浮かべて、それがレンタル対象なのか購入対象なのか、この記事で確認してみてください。迷ったときは、担当のケアマネジャーか地域包括支援センターに「福祉用具について相談したい」と伝えるところから始めれば大丈夫です。

介護そっとねっとには、「介護用ベッドのレンタルを始めてから、家族の腰痛がうそのように楽になった」という声も寄せられています。一人で抱え込まず、同じ立場の家族とも情報を交換しながら、無理のない介護の形を探してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の対象品目・価格・支給の可否については、担当のケアマネジャー・福祉用具専門相談員・お住まいの市区町村の介護保険担当窓口にご確認ください。

参考情報(一次情報)

本記事の編集方針・訂正ポリシーは 編集方針ページ をご覧ください。

よくある質問

はい。介護用ベッド(特殊寝台)や車いすは、多くの場合「福祉用具貸与」として介護保険でレンタルできます。購入前提だと数万円〜数十万円かかりますが、レンタルなら月々の自己負担は1割負担で数百円〜3,000円程度が目安です。体格や状態の変化に応じて交換しやすいメリットもあります。

直接肌に触れるかどうかが基準です。車いすや介護用ベッドなど肌に直接触れないものはレンタル対象、腰掛便座や入浴補助用具など衛生上レンタルになじまない用品は購入対象になります。購入対象の福祉用具は、1年間(4月〜翌年3月)で10万円を上限に費用の7〜9割が保険給付されます。

本当です。2024年度の制度改定で、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖の4品目だけは、レンタルと購入のどちらかを利用者が選べる「選択制」の対象になりました。長期間使う見込みがある場合は購入の方が総額で安くなることもあります。

原則として、要支援1・2、要介護1の方は介護用ベッドや車いすなど一部の福祉用具のレンタル対象外です。ただし、主治医の医学的所見をもとに市区町村が個別に判断する「例外給付」という仕組みがあり、状態によっては例外的にレンタルできる場合があります。まずは担当のケアマネジャーに相談してください。

要介護(要支援)認定を受けたあと、ケアマネジャーへの相談、福祉用具専門相談員による選定・試用、契約、納品という流れになり、早ければ1週間、標準的には2週間程度が目安です。介護用ベッドなど在庫状況によってはもう少し時間がかかることもあります。

厚生労働省が新商品65品目について「全国平均貸与価格」と「上限価格」を公表し、2026年10月分のレンタルから適用される制度です。福祉用具専門相談員が契約前に全国平均価格を説明する義務があり、上限価格を超える価格設定は保険給付の対象外となるため、事業者による割高な価格設定を避けやすくなります。

ご利用にあたっての免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的として介護そっとねっと編集部が作成したものです。介護保険や医療・心理に関わる個別のご判断については、 お住まいの市区町村の地域包括支援センター、主治医、担当ケアマネジャー、または厚生労働省の公式情報をご確認ください。記事は2026.7.21時点の情報に基づきます。

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