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そっとねっとコラム2026.5.18

仕事と介護の両立:時間管理と心の余白を保つために

働きながら家族の介護を担う「ビジネスケアラー」が増えています。介護休業・介護休暇などの制度活用から、時間管理、心の余白の作り方まで、両立のコツを紹介します。

介護そっとねっと編集部8分で読める
仕事と介護の両立:時間管理と心の余白を保つために

「親の介護が始まったけれど、仕事も辞められない」「兄弟と分担しているが、自分の生活が回らない」——働きながら家族の介護を担う ビジネスケアラー が日本で急増しています。

総務省「就業構造基本調査(2022 年)」によると、介護をしながら働く人は約 365 万人。経済産業省の試算では、ビジネスケアラーの仕事と介護の両立困難による経済損失は 2030 年に約 9 兆円規模に達するとも言われています。

この記事を読むとわかること

  • 仕事と介護の両立に活用できる法定制度
  • 介護休業・介護休暇の取り方
  • 時間管理と心の余白を保つ実践的なコツ
  • 相談できる窓口

1. まず知っておきたい法定制度

仕事を続けながら介護を担うために、育児・介護休業法 で以下の制度が定められています。

介護休業(最大 93 日)

  • 対象: 要介護状態の家族 1 人につき通算 93 日まで、3 回まで分割取得可能
  • 取得単位: 日単位
  • 賃金: 原則無給だが、雇用保険から 介護休業給付金(賃金の 67%) が支給される
  • 手続き: 取得開始日の 2 週間前までに会社へ書面で申請

「介護に専念する 1〜3 ヶ月」が必要なときに使う制度です。

介護休暇(年 5 日)

  • 対象: 要介護状態の家族 1 人につき 年 5 日(2 人以上なら年 10 日)
  • 取得単位: 1 日 or 半日 or 時間単位(2021 年から拡充)
  • 賃金: 会社規定によるが、原則無給扱いも可
  • 用途: 通院付き添い、ケアマネとの打ち合わせ、書類対応

「ちょっと半日だけ抜けたい」というケアに使う制度です。

その他の制度

制度内容
短時間勤務1 日 6 時間など、勤務時間短縮
時差出勤始業・終業時間をずらす
時間外労働の制限月 24 時間・年 150 時間以内に制限を請求できる
深夜業の制限22 時〜5 時の勤務を免除請求できる
テレワーク多くの企業で柔軟運用が進行

これらは 法律で定められた権利 です。会社に申請するときは、就業規則と合わせて確認しましょう。


2. 時間管理:「自分の時間」をスケジュールに入れる

両立がうまくいかない原因の多くは、「介護の時間」と「仕事の時間」だけでスケジュールが埋まり、自分の時間が消える ことにあります。

1 週間のタイムブロック

時間帯平日週末
朝 6〜8 時自分の身支度・朝食ゆっくり起床
日中 9〜18 時仕事介護タスク(通院・買い物)
夕方 18〜20 時介護対応自分の趣味・運動
夜 20〜22 時食事・家事家族との時間
夜 22 時以降自分の時間(読書・入浴・SNS)同左

ポイントは、「自分の時間」をカレンダーに予約として入れる こと。空き時間に押し込むのではなく、最初から確保します。

サービスを最大限活用する

  • 訪問介護: 朝・夕の食事や入浴を任せる
  • デイサービス: 平日昼間を任せ、仕事に集中
  • ショートステイ: 月 1〜2 回利用して、自分の休息を確保
  • 配食サービス: 食事準備の負担を減らす

「全部自分でやらない」が両立の基本です。


3. 心の余白:相談先と楽しみを確保

時間管理だけでなく、心の余白 がなければ続きません。

相談できる窓口を 3 つ確保する

  1. 専門相談: 地域包括支援センター — 介護の困りごと全般
  2. 職場相談: 人事・上司 — 制度活用や勤務調整
  3. 私的相談: 介護経験者の友人・SNS — 気持ちの共有

介護そっとねっとアプリでは、匿名で介護の悩みを共有できる場を提供しています。「実名では話せないけど聞いてほしい」気持ちに、そっと寄り添います。

「楽しみ」を残す

両立を続けるには、自分のためだけの楽しみ が必要です。

  • 週 1 回のカフェ時間
  • 月 1 回の映画館
  • お風呂で読書する 30 分
  • 散歩や軽い運動

「介護があるから諦めなきゃ」ではなく、「介護があるからこそ自分の楽しみは死守」。これが長く続けるコツです。

仕事と介護を両立するビジネスケアラー(約365万人)を支える3つの柱、法定制度の活用・時間管理の工夫・心の余白を保つ方法を、中央のハブから3カラムに分岐させて示した図解。


4. 兄弟・親族での分担

一人で抱えると、必ず限界が来ます。早めに親族会議 を開いて、分担を明確にしましょう。

分担の例

担当役割
主介護者日常のケアと連絡窓口
副介護者月数回の応援、緊急時対応
資金担当介護費用の管理
遠隔担当電話・LINE での精神的サポート、書類対応

「近くに住んでいる人 = 全てを担う」ではなく、役割を分けて全員参加 にします。


5. 退職を考える前に

介護離職は人生に大きな影響を与えます。

  • 収入が途絶える → 自分の老後資金が減る
  • 社会とのつながりが減る → 介護うつのリスクが上がる
  • 再就職が難しくなる → 50 代以降は特に

退職する前に、

  • 会社の人事に制度活用を相談
  • ケアマネと 介護サービスの最大活用 を協議
  • 地域包括支援センター で公的支援を確認

これらを試した上で、それでも限界なら検討する——という順序が大切です。なお、2025 年 4 月の育児・介護休業法改正で、会社が介護に直面した社員に制度を個別に案内する義務や、介護休暇を取りやすくする要件緩和が加わりました。改正で広がった「働きながら介護する家族の権利」については、仕事を辞めずに介護を続けるために──2025年に変わった「両立支援」、家族が使える新しい権利でくわしく解説しています。


まとめ

この記事の要点

  • 介護休業・介護休暇・短時間勤務など法定制度を活用
  • 時間管理は「自分の時間をスケジュールに予約」
  • 心の余白は「相談先 3 つ」と「自分の楽しみ」を確保
  • 兄弟・親族で役割分担、一人で抱えない
  • 退職は最後の選択肢、その前に制度とサービスをフル活用

仕事と介護の両立は、決して一人の頑張りで成立するものではありません。制度と人とサービスをうまく組み合わせて、長く続けられる形をつくっていきましょう。

参考情報(一次情報)

本記事の編集方針・訂正ポリシーは 編集方針ページ をご覧ください。

よくある質問

総務省「就業構造基本調査(2022年)」によると、介護をしながら働く人は約365万人です。経済産業省の試算では、両立困難による経済損失は2030年に約9兆円規模に達するとも言われています。

要介護状態の家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割取得できます。介護休業給付金として、雇用保険から賃金の67%が支給されます。

要介護状態の家族1人につき年5日、対象家族が2人以上の場合は年10日の介護休暇が利用できます。2021年からは半日または時間単位での取得も可能になりました。

ご利用にあたっての免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的として介護そっとねっと編集部が作成したものです。介護保険や医療・心理に関わる個別のご判断については、 お住まいの市区町村の地域包括支援センター、主治医、担当ケアマネジャー、または厚生労働省の公式情報をご確認ください。記事は2026.5.18時点の情報に基づきます。

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