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そっとねっとコラム2026.3.10

親の介護が始まったら──はじめての介護保険、申請から費用までやさしく解説

「親の介護が始まったけれど、何から手をつければいいかわからない」——そんなあなたへ。介護保険の申請の流れ、利用できるサービスの種類、気になる費用まで、初めてでも迷わないようにやさしく解説します。

介護そっとねっと編集部14分で読める
親の介護が始まったら──はじめての介護保険、申請から費用までやさしく解説

この記事は、介護そっとねっとが最初にお届けする「介護保険」の入門解説です。

介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支えるために設けられた日本の社会保険制度です。2000年(平成12年)4月に施行され、家族だけに集中していた介護の負担を、社会全体で分かち合うことを目的としています。

この記事でわかること

  • 介護保険制度の全体像と財源の仕組み
  • 第1号・第2号被保険者の違い(比較表あり)
  • 要介護認定の6ステップと標準期間
  • 要介護度ごとの利用上限額とサービス種別
  • 申請をスムーズに進めるためのコツ

介護に直面したご家族や、これから備えたい方に向け、制度の仕組みから申請・サービス利用までを初めての方にもわかりやすく解説します。


介護保険制度の概要

介護保険制度は、40歳以上のすべての方が加入する公的な社会保険制度です。加入者(被保険者)が納める保険料と、国・都道府県・市区町村の公費(税金)を財源として運営されています。

項目内訳
保険料全体の 50%
公費(税金)全体の 50%

(2024年度基準)

保険料の徴収方法は被保険者区分によって異なります。

  • 第1号被保険者(65歳以上): 市区町村ごとに所得に応じた段階別金額が設定され、年金から天引き(特別徴収)されるのが一般的
  • 第2号被保険者(40歳から64歳): 加入している健康保険(会社の健康保険や国民健康保険)の保険料に上乗せして徴収

制度の運営主体(保険者)は市区町村および特別区で、お住まいの自治体が窓口となります。


被保険者の分類

介護保険の被保険者は、年齢によって2つに分類されます。サービスを利用できる条件が大きく異なります。

区分対象年齢サービス利用条件
第1号被保険者65歳以上原因を問わず、要介護(要支援)認定を受ければ利用可能
第2号被保険者40歳から64歳の医療保険加入者加齢に起因する16種の特定疾病による要介護状態に限定

第1号被保険者(65歳以上の方)

65歳以上の方は全員が第1号被保険者となります。加齢による体力の低下、転倒による骨折、認知症の発症など、介護が必要になった理由を問わず対象となります。

第2号被保険者(40歳から64歳の方)

40歳から64歳の医療保険加入者は第2号被保険者ですが、サービス利用は「16種の特定疾病」が原因の場合に限られます。

#16種の特定疾病
1末期がん(回復の見込みがないと医師が判断したもの)
2関節リウマチ
3筋萎縮性側索硬化症(ALS)
4後縦靱帯骨化症
5骨折を伴う骨粗鬆症
6初老期における認知症(アルツハイマー病、脳血管性認知症など)
7脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)
8パーキンソン病関連疾患
9脊髄小脳変性症
10脊柱管狭窄症
11早老症(ウェルナー症候群など)
12多系統萎縮症
13糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
14閉塞性動脈硬化症
15慢性閉塞性肺疾患(COPD)
16両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症

注意: 交通事故など特定疾病以外の原因で介護が必要になった場合は、介護保険の対象外となります。


要介護認定の流れ

介護保険サービスを利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があります。申請から結果通知まで、原則 30日以内 に行われます。

  1. 申請
  2. 認定調査(全74項目)
  3. 主治医意見書
  4. 一次判定(コンピュータ判定)
  5. 二次判定(介護認定審査会)
  6. 認定結果の通知

ステップ1: 申請

お住まいの市区町村の介護保険担当窓口(または地域包括支援センター)で、要介護認定の申請を行います。

  • 65歳以上の方: 介護保険被保険者証
  • 40歳から64歳の方: 健康保険被保険者証

申請は本人のほか、家族・ケアマネージャー・地域包括支援センターが代行することもできます。

ステップ2: 認定調査

認定調査員(市区町村の職員や委託事業者のケアマネージャーなど)がご本人を訪問し、心身の状態について聞き取り調査を行います。

  • 74項目 のチェック
  • 身体機能・生活機能・認知機能・精神行動障害・社会生活への適応を確認
  • ご自宅や入院先で、通常 30分から1時間 程度

ステップ3: 主治医意見書

市区町村から主治医(かかりつけ医)に意見書の作成が依頼されます。疾病や負傷の状態、特別な医療の必要性、心身の状態に関する意見などが記載されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診断を受けます。

ステップ4: 一次判定(コンピュータ判定)

認定調査の結果と主治医意見書の一部項目をもとに、全国一律の基準で要介護度の目安が算出されます。

ステップ5: 二次判定(介護認定審査会)

保健・医療・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が、一次判定結果を原案として、特記事項や主治医意見書を加味し最終的な要介護度を決定します。

ステップ6: 認定結果の通知

申請から原則 30日以内 に結果が通知されます。

  • 非該当(自立): 介護保険サービスは利用不可。ただし地域支援事業の介護予防サービスを利用できる場合があります
  • 要支援1・2: 介護予防サービス(予防給付)を利用可能
  • 要介護1から5: 介護サービス(介護給付)を利用可能。数字が大きいほど介護の必要度が高い

認定の有効期間は、初回が原則 6ヶ月(状況に応じて3ヶ月から12ヶ月)、更新が原則 12ヶ月(状況に応じて3ヶ月から48ヶ月)です(2024年度基準)。

ポイント: 有効期間満了前に更新申請を忘れずに。更新時期が近づいたらケアマネージャーから案内があります。

要介護認定の申請から結果通知までの流れを示す6ステップの線形プロセス図。申請、認定調査、主治医意見書、一次判定、二次判定、認定結果の通知の順に並び、原則30日以内に結果が通知されることを強調している。


利用できるサービスと費用目安

要介護度に応じて、1ヶ月に利用できるサービスの上限額(区分支給限度基準額)が定められています。以下は2024年度基準の金額です。

要介護度区分支給限度基準額(月額)
要支援1約50,320円
要支援2約105,310円
要介護1約167,650円
要介護2約197,050円
要介護3約270,480円
要介護4約309,380円
要介護5約362,170円

自己負担割合

介護保険サービスを利用した際の自己負担割合は、原則として費用の 1割 です。ただし所得に応じて負担割合が変わります(2024年度基準)。

所得の目安(65歳以上・合計所得)自己負担割合
一般1割
合計所得金額 160万円以上(年金収入のみ単身で年収280万円以上相当)2割
合計所得金額 220万円以上(同340万円以上相当)3割

高額介護サービス費

1ヶ月の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超過分が高額介護サービス費として後から払い戻されます。

  • 一般的な所得の世帯: 月額上限 44,400円(2024年度基準)
  • 住民税非課税世帯: さらに低い上限額が適用され、負担が軽減

主な介護サービスの種類

介護保険で利用できるサービスは、大きく3種類に分けられます。

居宅サービス(自宅で受けるサービス)

自宅で生活しながら利用できるサービスです。

  • 訪問介護(ホームヘルプ): ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・調理などの生活援助を行います
  • 訪問看護: 看護師が自宅を訪問し、医師の指示のもと、健康状態の観察や医療処置、リハビリテーションなどを行います
  • 訪問リハビリテーション: 理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、心身の機能回復のためのリハビリテーションを行います
  • 通所介護(デイサービス): 日帰りで施設に通い、食事・入浴・レクリエーション・機能訓練などのサービスを受けられます。介護者の休息(レスパイト)にもなります
  • 短期入所生活介護(ショートステイ): 短期間(数日から最長30日程度)施設に宿泊し、食事・入浴・機能訓練などのサービスを受けられます

施設サービス(施設に入所して受けるサービス)

施設に入所し日常生活全般の介護を受けるサービス。原則として要介護1以上の方が対象です。

  • 特別養護老人ホーム(特養): 原則として要介護3以上の方が入所できる施設で、終身にわたって介護を受けられます。費用が比較的安いため入所待ちが多い施設です
  • 介護老人保健施設(老健): 病院退院後のリハビリテーションを中心とした施設で、在宅復帰を目指します。入所期間は原則3ヶ月から6ヶ月です
  • 介護医療院: 長期にわたり医療と介護の両方が必要な方のための施設で、日常的な医学管理や看取り、ターミナルケアにも対応しています

施設サービスの介護費用とは別に、食費・居住費も自己負担が発生します。住民税非課税世帯などは「負担限度額認定証」により軽減を受けられますが、2026年8月からこの軽減額の一部が引き上げられる予定です。詳しくは介護施設の食費・居住費、2026年8月から一部引き上げに──「負担限度額」のしくみと対象者をやさしく解説で解説しています。

地域密着型サービス

住み慣れた地域で生活を続けるためのサービス。原則として、その市区町村の住民のみ利用可能です。

  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム): 認知症の方が少人数(5人から9人)で共同生活を送りながら、日常生活上の介護や機能訓練を受けられます
  • 小規模多機能型居宅介護: 「通い」「訪問」「宿泊」の3つのサービスを一つの事業所で柔軟に組み合わせて利用できます

福祉用具・住宅改修

  • 福祉用具レンタル: 車いす、特殊寝台(介護用ベッド)、歩行器、手すり(工事を伴わないもの)などを1割から3割の自己負担でレンタル可能
  • 福祉用具購入: 入浴補助用具、腰掛便座、簡易浴槽など、レンタルになじまない福祉用具は、年間 10万円 を上限として費用の7割から9割が支給されます
  • 住宅改修: 手すりの取り付け、段差の解消、滑り防止の床材変更、和式便器から洋式便器への取り替えなど、自宅のバリアフリー化工事に対して、1住宅あたり 20万円 を上限として費用の7割から9割が支給されます(2024年度基準)

申請のコツと注意点

介護保険をスムーズに利用するために、知っておくと役立つポイントをご紹介します。

認定結果に不服がある場合

認定された要介護度が実際の状態と合っていないと感じた場合は、区分変更申請を行うことができます。認定結果の通知後いつでも申請可能で、改めて認定調査と審査判定が行われます。

申請中でもサービスを利用できる

要介護認定の申請から結果通知までの間も、暫定ケアプランを作成することで介護サービスを利用できます。

注意: 認定結果が想定よりも低い要介護度となった場合、超過分が全額自己負担になる可能性があります。ケアマネージャーとよく相談したうえで利用しましょう。

認定調査を受ける際のポイント

調査員の前では緊張して普段より受け答えがしっかりしてしまう方も多いため、普段の状態を正確に伝える工夫が大切です。

  • 事前に困りごとのメモを用意する
  • 普段の様子をよく知っている家族が同席する
  • 「できる日」ではなく「普段の日」を基準に伝える

ケアマネージャーの選び方

要介護1以上の認定を受けた方は、居宅介護支援事業所のケアマネージャー(介護支援専門員)にケアプランの作成を依頼します。選ぶ際のチェックポイントは以下の通りです。

  • 話をしっかり聞いてくれる
  • 利用者の希望を尊重してくれる
  • 地域の介護サービス事業者について詳しい
  • 連絡が取りやすい
  • 相性が合う

ケアマネージャーは途中で変更も可能です。合わないと感じた場合は、遠慮なく地域包括支援センターに相談しましょう。


まとめ

この記事の要点

  • 介護保険は40歳以上が加入する社会保険で、保険料50%・公費50%で運営
  • 第1号(65歳以上)は原因を問わず、第2号(40-64歳)は16種の特定疾病が対象
  • 要介護認定は6ステップ、原則30日以内に結果通知
  • 区分支給限度基準額は要支援1の約50,320円から要介護5の約362,170円まで
  • 相談はまず地域包括支援センターへ(無料・総合窓口)

介護について不安やお悩みがある方は、まず地域包括支援センターに相談されることをおすすめします。介護保険の申請支援からサービスの利用調整まで、幅広くサポートしてくれます。

なお、認知症などで本人の判断能力が低下し、契約手続きや口座からの引き出しが難しくなってきた場合は、介護保険とは別に成年後見制度の利用を検討するご家族もいます。制度の詳細は親のお金や契約を守る「成年後見制度」とは──家族のためのやさしい入門と2026年の大改正で解説しています。

介護保険・認知症ケア・在宅介護の実践・介護者のメンタルヘルスなど、そっとねっとコラムで扱っているテーマの全体像はコラムを新しく開設いたしました。でもご紹介していますので、あわせてご覧ください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に関するアドバイスは専門家にご相談ください。

参考情報(一次情報)

本記事の編集方針・訂正ポリシーは 編集方針ページ をご覧ください。

よくある質問

40歳以上のすべての方が加入します。65歳以上は第1号被保険者、40歳から64歳の医療保険加入者は第2号被保険者です。第1号は原因を問わず、第2号は加齢に起因する16種の特定疾病が原因の場合にサービスを利用できます。

申請から原則30日以内に結果が通知されます。申請、認定調査(全74項目)、主治医意見書、一次判定、二次判定、認定結果の通知という6ステップで進みます。申請は家族やケアマネージャー、地域包括支援センターが代行することもできます。

原則として利用費用の1割です。所得に応じて2割または3割となる場合があります。また1ヶ月の自己負担額が上限(一般的な所得の世帯で月額44,400円・2024年度基準)を超えると、超過分が高額介護サービス費として後から払い戻されます。

要介護度に応じて1ヶ月に利用できる上限額(区分支給限度基準額)が定められています。2024年度基準で、要支援1が約50,320円、要介護1が約167,650円、要介護3が約270,480円、要介護5が約362,170円などです。この範囲内のサービス利用であれば、自己負担は原則1割で済みます。

利用できます。要介護認定の申請から結果通知までの間も、暫定ケアプランを作成することでサービスを利用できます。ただし認定結果が想定より低い要介護度になった場合、超過分が全額自己負担になる可能性があるため、ケアマネージャーとよく相談したうえで利用しましょう。

認定された要介護度が実際の状態と合っていないと感じた場合は、区分変更申請を行うことができます。認定結果の通知後いつでも申請でき、改めて認定調査と審査判定が行われます。判断に迷うときは、担当ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。

ご利用にあたっての免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的として介護そっとねっと編集部が作成したものです。介護保険や医療・心理に関わる個別のご判断については、 お住まいの市区町村の地域包括支援センター、主治医、担当ケアマネジャー、または厚生労働省の公式情報をご確認ください。記事は2026.3.10時点の情報に基づきます。

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